きとろの徒然日記

観たお芝居、旅行のことと食べたこと

【観劇】ラヴ・レターズ

 

2024年1月24日(Wed)マチネ@PARCO劇場(Q列)

ラヴ・レターズ(古田新太石川さゆり

 

あらすじ

幼馴染のアンディーとメリッサ。自由奔放で感覚人間のメリッサ。真面目でいつも何かを書いているアンディー。思春期を迎えて彼らは一番近い異性としてお互い十分相手を意識しはじめる。しかし、ついに決定的に結ばれるチャンスを迎えた夜、二人は友達以上にはなれない自分たちを発見する。大学を出た二人はそれぞれ結婚し、まったく別の道を歩き始める。海軍を経て法曹界に入り上院議員まで登りつめるアンディー。アートの道に進んだものの行き詰まって精神的破綻をきたすメリッサ。久しぶりに再会した二人は別々に過ごした日々を取り戻すかのようだった。しかし・・・。

 

()表記内は実際に劇場にて以下のようなポスターがあったのでそのまま書きました。

 

このペアだけは当初発表されておらず、追加ペアだったんですよね。何か理由があったのでしょうか。できれば他のペアと同様ソワレがよかったです!(ソワレが良かったと思った理由は蛇足として後述します)

今回、リーディングドラマということで、あらすじすら読まずに出かけようとしたのですが、まさかPARCO STAGEがSNSにアップしていた動画であっさり結末を知ってしまい笑

まぁまぁまぁ…と思いながら出かけました。

四角く照らされた舞台には2脚の椅子とその間に水差しと2つのコップが置かれたテーブルが1つ。

それ以外は何もない舞台に2人の俳優が上がって台本を手に読み上げていく。

リーディングドラマというものはそういうものですよと言われればそうなのかもしれないのですが、何分私は初めてだったので開演前の身動きすら憚れられるほどの静寂が広がる空間に今までの観劇以上にドキドキしました。

 

キャストは二人だけ。この回はアンディ役が古田新太さんで、メリッサ役が石川さゆりさんです。

出会った当初と最後で段階を踏んで声色を変えていく石川さんと対照的に淡々と読み上げていかれるのが古田さんで、こういうペアによって特色が異なるものというのは面白いですよね。時間とお金が許せば全ペア観劇したかった…!

 

アンディとメリッサは同じ方向を向いてずっと進み続けていたのに平行線で、二人が交わるのはあくまでも"手紙"の中だけ。でも現実ではお互いに手紙を通して想いあっていることに気が付く。同じ方向を向いていても横から見たら高低差のある二人の人生は、きっとアンディがメリッサにお誕生日プレゼントを贈らなければ触れることすらなかったはずです。幼い日から送りあった手紙はいつしか1年の中で何度も行われていたのに大人になるにつれ頻度は下がり、晩年には1年に1度。クリスマスと新年をいっしょくたに祝うものになって、それだけ二人の心が離れて行っていることを示しているのでした。

表面上は順風満帆な人生を送るアンディはいつしか自らの中で大きなウェイトを占めていたはずの手紙を書くということすらしなくなり、それが分かった瞬間メリッサは本当に悲しかったのだと思います。悲しくて悔しくてやるせなくて憤って、そして落胆する。あれだけ手紙でなく、電話や会うという手段を取りたがったメリッサに手紙という手段を取り続けたアンディがそれを放棄したことが辛かったのでしょう。

愛する妻や子がいるアンディが病に蝕られ始めたメリッサに愛を誓う12本のバラを送ったことが彼女の心の病を加速させたように思います。

最後、メリッサは死んでしまいますがそれが精神的な病からくるものなのか別の合併症なのかは描かれていません。

でも「私は消えます」という彼女の台詞から、答えはきっと自ら選んだものだったのだとろうと想像できます。

 

途中で音楽が入るわけでもなく、物語が終わるにつれじわじわと落とされていく照明が手紙という点だけで繋がり続けた二人の終焉を表しているようで悲しく、胃の淵にべったりと重たいものが貼りつくような心地。

最後にアンディが、メリッサとの関係と伴う気持ちをミセスガードナー(メリッサの母)と、メリッサさんに伝えたかったんですと言うのが救われた。もう死んでしまったメリッサが身を乗り出してアンディを見つめているのもとてもとても堪らなくなってしまいました。

また、消える最後の台詞の時にアンディ(古田さん)が涙ぐむものだから!

 

終演後、何度メリッサは「お願い」「助けて」を繰り返し、それにアンディは答えたのだろうかと考えていました。メリッサはアンディからの質問にはすべて答えていたのに。

というかこの二人本当に会わないな!?物理的な距離で無理な時もあったでしょうから、いざ会えるとなったら気持ちが溢れて不倫に走ったのでしょうか。

メリッサは家族との関係性に悩んでいたでしょうが、アンディは多少の問題はあれどメリッサを求めるほどではなかったように思うのですが……

この不倫の関係がメリッサに対する救いと判断したのであれば話は別ですけれど。

 

今回は間に15分の休憩が入って上演時間としては1時間40分ほどでした。

二人の手紙のやりとりがラヴ・レターというのはなんだか綺麗にまとめられすぎな気もしますが、観劇始めがラヴ・レターズで良かったです。

 

朗読劇って面白いですね。多分自分で読んだ方が分かりやすいし反芻しやすいけれど、でもそこは役者さんの演技力という最大の調味料があるから違ったおいしさがある……

割と頻繁に星の王子様の朗読劇が開催されているようですので機会があれば行ってみたいな。

 

以上です!

 

 

 

 

 

ここからはソワレだったら良かったと思った理由という名の蛇足です。(グチです)

 

朗読劇なのですし、咳払いや飴の袋を開けば音が響くことが分からないものなんでしょうか(あと明らかに体調不良と思われる咳が続いていた方もいらっしゃいました。これは普通に外に出歩かないで欲しい)

経験上平日マチネって働いていない年配の方が多いのですよね。大体そういうときってこういう騒音トラブルが多い気がします。

今日はところどころ聞こえなくなるくらいひどかったので、お客様とて許せぬ!と注意しようかと思ったのですが、先に注意してくださった方がいらっしゃって上げかけた拳を下ろしました。

こういう客層のことまで考えるのは正直嫌だな~客ガチャ!