きとろの徒然日記

観たお芝居、旅行のことと食べたこと

【観劇】あのよこのよ

2024年4月15日(Sun)@PARCO劇場(P列)

あのよこのよ

 

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※若干のネタバレがあります。

 

あのよこのよ、は令和に対する風刺の物語でした。

池谷のぶえさん、村木仁さん、市川しんぺーさんが出てるとなれば行かずにはいられないでしょ!と出かけてきましたPARCO劇場

 

エレベーターを待っていると何だか目立つ帽子とジャケットの男性が…古田新太さんでした。

村木さんは言わずもがなですが、主演の安田さんとはマニアックで共演されていますし、のぶえさんとも獣道一直線でご一緒されていたはず。

独特なファッションと雰囲気相まって他のお客さんもヒソヒソ…笑

 

開演前は幕が下りた状態だったのですが、それが地獄絵図のような絵で

 

江戸から明治への黎明期に、刺爪秋斎(安田さん)は明治政府を批判した浮世絵を描いたことで牢屋に入れられ拷問されていたのですが、出所し、弟の簪職人である喜三郎と居酒屋にいたところに未来が見えるというフサ(池谷のぶえさん)に「おんなが見える」と告げられたところから物語が始まります。

 

人の死と時代の変化に焦点を当てた作品で、ちょっとダークなものの見方が演出の青木豪さんとタッグを組んでいた前作「マニアック」と通じるところがありました。

以前は良かったことが時代の変化によってダメになったり、死の概念について考えさせられたり…まさに今の令和の時代に似通った部分があって主人公に共感できるところも多かったです。

主演の安田さんは以前大病を患われた上に怪我をされたとのことでしたので激しい殺陣やお芝居にドキドキしてしまいましたが、今回の舞台では殺陣のシーンも多く、場面展開ではさすがの歌唱力でさすがだなぁと感嘆してしまいました。観客の意識を向けさせることもお上手で。

 

秋斎は、徳川慶喜公の側室であり彼が隠し持っていた薬を盗んで売るつもりだという危ない橋を渡っているミツとその恋人をアメリカの取引先まで送り届けるという本筋の中で、その道中に襲い来る敵を倒していきながら自らが捕まった原因である描く浮世絵のモチーフやなぜ浮世絵師になったのかを思い出していく。

主人公である秋斎もちょっと危ない人間なんですよね。道端で死に、腐っていく人間の肉を見て、恍惚とする人間で、しかもそれを出会って間もないミツに話してしまうところとか。襲い掛かってくる人間は斬り倒すしそりゃ新しい時代には追い付かないという。でもこれが我々が新たな価値観に振り回されていることを暗示しているのかなと思いました。

 

市川しんぺーさんが演じられたフサの父親である幽霊の役は物語の中でも、見える人と見えない人がいることではっきりと観客にも幽霊であると伝えられるのですが、序盤に死んでいたのにずっと生きているように登場していたミツが自分はずっと生きていると認識していたが故に本当は持っているはずもない(死んでいるので)行李を持ち続け、本物の行李が出てきた時にはそれをなくしてしまうという演出が面白かったです。

後から思い出せば、幽霊が見えない人間はミツが出てきた時にはその場にいませんでした。

見える人間にはその人が生きているか死んでいるか分からず、死んでいる人間は自分が死んでいると認識していないので生きている人間として振る舞う。

では、死とは何か。

死の概念としては私の理解不足ではっきり捉えることができなかったのですが、

死とは、自らが死んでいると認識した時に初めて死が成立する。ということは認識次第で"あのよ"が"このよ"になり、”このよ”が”あのよ”になり、”あのよ”が”このよ”になる…ということ??

 

物語として今観れたことが良かったと思います。これがもう少し先、もしくは後だったらここまで共感しなかったと思うので…

 

 

【観劇】千と千尋の神隠し

2024年3月20日(Wed)ソワレ@帝国(H列)

千と千尋の神隠し

 

 

当日は生憎の空模様でしたが、先日、千と千尋の神隠しを観劇してきました!

そもそも2023年に上白石萌音さんの千尋バージョンで観劇済みだったのですが、その当時のWキャストである橋本環奈さんの千尋を観たい!ということでチケットをゲット。

今はクワトロキャストで、しかも今年はロンドンに進出されるとか。

確かトトロは先に進出していて賞も受賞されているので、ジブリの世界観×演劇というのは親和性があるのかも。

ローレンス・オリヴィエ賞で6冠 舞台『となりのトトロ』は「演劇として完成された」歴史的な作品 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス (eplus.jp)

 

帝国劇場に来ると、中の厳かさといいますか格式高さに観劇に来た!という気持ちになりますね。

 さて、冒頭にも書きましたが、今回の千尋は橋本環奈さん。ハクは醍醐虎汰朗さんでした。2023年に観劇した際とはハクと兄役以外は全員別のキャストの方でしたね。一応前回のキャスト表と今回のキャスト表を…↓

 

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御園座はペラ1でした笑

 

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何度観ても盆の上で屋台からお油屋に変わり、千とリンたちの部屋に変わり…様々なシーンに変わっていく様は遊園地に行ったかのようなワクワク感と感動を味わえました。

これが海外に輸出されるというのですから凄いですよね…!

八百万の神々が出てくるところもススワタリのパペットたちも一つ一つ芸が細かく目が足りないほど!

物語は映画に準拠しているのですが、それでもありとあらゆる場所で動き回る人や神々の動作を観ていたら2回目の観劇でも飽きることはありませんでした。

 

そして主人公である環奈千尋も素晴らしかったです!

私が最初に観た萌音千尋は愚図で泣き虫で甘ったれな子から徐々に自立し成長していく様が見て取れて、だからこそ銭婆の家でハクが死んでしまうかもしれないと泣く姿にホロリと印象が崩れるのが映えていました。

環奈千尋は成長しながらもどこか10歳の子どもの感情や思考を引きずっている姿が印象的で、喜怒哀楽がはっきりしているように感じました。

2人ともそれぞれの千尋の姿があって、これは残りの2人も気になります!

まぁ値段的にもう観ることは叶いませんが…(17,000円)

 

 前回との違いについていくつか。

全体的に創作ダンスのようなものが増えていて、そういえばこの作品は海外の方が演出されたのだなと思い出したりしたのですが、もちろんカオナシ役の方は全員ダンサーの方ですので踊りに違和感はありませんし、何なら踊ることでカオナシの異質さが際立ったように感じました。そう思うとダンサーさんを起用したのに前回あまりにもカオナシが踊るところが少なかったから増やしたのかも。

ですが、銭婆の家の一本足のランプについては冗長に感じる場面もあったような気がしました。

沼の底の駅から降りて千尋たちがたどり着くまで時間があったということを表したいのかもしれないと思ったのですが、一度は袖にはけているわけですのでそんなに踊らずとも…という思いました。全身タイツで片足に一本足が描かれているのですが両足で踊っているのでうまく表現できているようには感じなかったです。ランプとは映画を見ていなければわからないのでは。

 あと、映画にはない台詞の付けたしや表現も多かったです。

例えば千尋が銭婆のところに行くと釜爺に告げた時にリンが「俺、船取ってくる!」と言ったこととか。

確かにすでに映画の千と千尋の神隠しを知っている人間であれば違和感はないかもしれませんが、未見の人であれば何故リンが船で千尋を待っているのか理解できないのかもしれないです。

ロンドンでは初見の方も多いでしょうし、これは伝わりやすくするための改変なのかもしれない。

 そして、2023年版はラストに"いつもなんどでも"がエンディングに流れましたが無かったですね!?

もしかしたら私が観劇した御園座は生オケではなかった?(多分)からかもしれませんが、ちょっと楽しみにしていた部分でもあったので…

 

4月からロンドンでも上演されますし、多く人に愛される作品になることを願っています。

 

 

【観劇】モンスター・コールズ

2024年2月12日(Mon)マチネ@Parco劇場(K列)

モンスター・コールズ

 

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あらすじ

コナー・オマリー、13歳。窓からイチイの木が見える家で、母親との二人暮らし。
だが、母親は闘病中で、そのために、コナーとは気の合わないおばあちゃんが、世話に来てくれている。
父親は、アメリカに新しい家族を作って出ていった。学校では、母親の病気がもとで、いじめられている。
唯一コナーを気遣う幼なじみのリリーとも不仲になり、孤立している。
それは、夜中過ぎにやって来た。モンスターがコナーの前に現れ語る。
「これから三つの物語を聞かせる、
私がその三つの物語を語り終えた時、お前が四つ目の物語を私に聞かせるのだ。
そして、それはコナーが隠している真実でなければならない。
お前は真実を語る、そのために、お前は私を呼び出したのだ。」と。
投薬を変えても病状が良くならない母親。ついには、入院することになり、コナーはおばあちゃんの家に預けられる。
時計が12時7分になる。闇の中で待つモンスターが最初の物語を語る。
エスカレートするいじめ、学校の先生からも腫れ物に触るように扱われている。
急きょ、アメリカから帰国する父親。日に日に悪化する母の病状。
時計が12時7分を指すとき、第二、第三の物語が語られる。
そして、コナーは、四つ目の真実の物語を語ることが出来るのだろうか?
12時7分には、どんな意味があるのだろうか?

 

 

 

というわけでPARCO劇場です。

今年のPARCO劇場のラインナップが私的にかなり魅力的で、積極的に渋谷に出掛けることになりそうです。まぁ仕事次第ではありますが……

 

出演されている瀬奈じゅんさんと葛山信吾さんといえば、大好きな舞台、ビューティフル・サンディに出演されていたお二人で、しかも今回は(元)夫婦役!とても楽しみにしていました。

 

元々は児童小説であり映画化されてもいるとのこと(未読未視聴)。

舞台の両側には椅子が奥に向かって等間隔に並べられていてそこに登場人物が並んでいて、服やカバン、朝食を差し出す役目を担い、コナーは彼ら彼女らが舞台上に落としていく服を身に着けていくというのが新鮮でした。登場人物でもあり黒子でもあるんですね。

エアリアル(という説明があったのですが、ヨガのエアリアルとは違いロープを使った演出)がとても効果的で、ロープの影がイチイの木に代わり、コナーを追いかける怪物を表し、怪物を隠しているのも人の手によって形が変えられるのが観ていて次はどうなるのかとワクワク。しかし舞台両脇の梯子を登ったり降りたりする山内さんは大変だっただろうなぁ。

 

怪物が聞かせる物語は人の心情や義理人情に寄らずあくまでも起こった事象を客観視した上で平等に伝えられる。語られる物語に意味はない理不尽だと感じていたコナーのもとに怪物を呼び出した理由が隠されていてそれをコナー自身は気づかないところが13歳という年齢や置かれた状況の不安定さを表しているのかなと思ったり。

そして、3番目の物語で、治るということの半分は信じることが占めると伝えられる。

それがコナーの物語の伏線で、母の病気が治るということを信じられなかったのに信じたくて、助けたいと願うと同時にもう終わらせたいと願ったコナーに呼ばれて出てきた怪物だったと。

きっとコナーが心の底から信じても母は助からなかっただろうと思うけれど、信じていれば怪物は出てこなかったはず。

父が執拗に繰り返す勇気を出すということ、祖母が言う話し合うことと怪物が伝える真実を話すことはイコールだと思った。

葛山さんは本当にこういうちょっと頼りなさげで、でも人に諦めずに伝えようとする役どころがお上手ですね。

 

真実を話したコナーに怪物は優しく、古い掛け時計や、デジタル時計等で示される12時7分は、最後はまさに息を引き取ろうとする母親の病室で迎え、怪物はそれをじっと見つめながら終幕。

心電図の音が時を刻む音のようで、もう目も開かないのに震えながらそっとコナーの元に手を伸ばす瀬奈じゅんさんの美しさよ!

 

最後、ハッピーエンドでないところも良かったです。

どうしても児童小説というとハッピーエンドエバーアフターが望まれるように思いますがこういうビターエンドも素敵だな…と大人になった今だからこそ思う。

でも私が子どもの時に読んでいたらめちゃくちゃ落ち込んだだろうな、ルーマー・ゴッデンの人形の家の結末でブチ切れる子どもだったので……

 

【観劇】ラヴ・レターズ

 

2024年1月24日(Wed)マチネ@PARCO劇場(Q列)

ラヴ・レターズ(古田新太石川さゆり

 

あらすじ

幼馴染のアンディーとメリッサ。自由奔放で感覚人間のメリッサ。真面目でいつも何かを書いているアンディー。思春期を迎えて彼らは一番近い異性としてお互い十分相手を意識しはじめる。しかし、ついに決定的に結ばれるチャンスを迎えた夜、二人は友達以上にはなれない自分たちを発見する。大学を出た二人はそれぞれ結婚し、まったく別の道を歩き始める。海軍を経て法曹界に入り上院議員まで登りつめるアンディー。アートの道に進んだものの行き詰まって精神的破綻をきたすメリッサ。久しぶりに再会した二人は別々に過ごした日々を取り戻すかのようだった。しかし・・・。

 

()表記内は実際に劇場にて以下のようなポスターがあったのでそのまま書きました。

 

このペアだけは当初発表されておらず、追加ペアだったんですよね。何か理由があったのでしょうか。できれば他のペアと同様ソワレがよかったです!(ソワレが良かったと思った理由は蛇足として後述します)

今回、リーディングドラマということで、あらすじすら読まずに出かけようとしたのですが、まさかPARCO STAGEがSNSにアップしていた動画であっさり結末を知ってしまい笑

まぁまぁまぁ…と思いながら出かけました。

四角く照らされた舞台には2脚の椅子とその間に水差しと2つのコップが置かれたテーブルが1つ。

それ以外は何もない舞台に2人の俳優が上がって台本を手に読み上げていく。

リーディングドラマというものはそういうものですよと言われればそうなのかもしれないのですが、何分私は初めてだったので開演前の身動きすら憚れられるほどの静寂が広がる空間に今までの観劇以上にドキドキしました。

 

キャストは二人だけ。この回はアンディ役が古田新太さんで、メリッサ役が石川さゆりさんです。

出会った当初と最後で段階を踏んで声色を変えていく石川さんと対照的に淡々と読み上げていかれるのが古田さんで、こういうペアによって特色が異なるものというのは面白いですよね。時間とお金が許せば全ペア観劇したかった…!

 

アンディとメリッサは同じ方向を向いてずっと進み続けていたのに平行線で、二人が交わるのはあくまでも"手紙"の中だけ。でも現実ではお互いに手紙を通して想いあっていることに気が付く。同じ方向を向いていても横から見たら高低差のある二人の人生は、きっとアンディがメリッサにお誕生日プレゼントを贈らなければ触れることすらなかったはずです。幼い日から送りあった手紙はいつしか1年の中で何度も行われていたのに大人になるにつれ頻度は下がり、晩年には1年に1度。クリスマスと新年をいっしょくたに祝うものになって、それだけ二人の心が離れて行っていることを示しているのでした。

表面上は順風満帆な人生を送るアンディはいつしか自らの中で大きなウェイトを占めていたはずの手紙を書くということすらしなくなり、それが分かった瞬間メリッサは本当に悲しかったのだと思います。悲しくて悔しくてやるせなくて憤って、そして落胆する。あれだけ手紙でなく、電話や会うという手段を取りたがったメリッサに手紙という手段を取り続けたアンディがそれを放棄したことが辛かったのでしょう。

愛する妻や子がいるアンディが病に蝕られ始めたメリッサに愛を誓う12本のバラを送ったことが彼女の心の病を加速させたように思います。

最後、メリッサは死んでしまいますがそれが精神的な病からくるものなのか別の合併症なのかは描かれていません。

でも「私は消えます」という彼女の台詞から、答えはきっと自ら選んだものだったのだとろうと想像できます。

 

途中で音楽が入るわけでもなく、物語が終わるにつれじわじわと落とされていく照明が手紙という点だけで繋がり続けた二人の終焉を表しているようで悲しく、胃の淵にべったりと重たいものが貼りつくような心地。

最後にアンディが、メリッサとの関係と伴う気持ちをミセスガードナー(メリッサの母)と、メリッサさんに伝えたかったんですと言うのが救われた。もう死んでしまったメリッサが身を乗り出してアンディを見つめているのもとてもとても堪らなくなってしまいました。

また、消える最後の台詞の時にアンディ(古田さん)が涙ぐむものだから!

 

終演後、何度メリッサは「お願い」「助けて」を繰り返し、それにアンディは答えたのだろうかと考えていました。メリッサはアンディからの質問にはすべて答えていたのに。

というかこの二人本当に会わないな!?物理的な距離で無理な時もあったでしょうから、いざ会えるとなったら気持ちが溢れて不倫に走ったのでしょうか。

メリッサは家族との関係性に悩んでいたでしょうが、アンディは多少の問題はあれどメリッサを求めるほどではなかったように思うのですが……

この不倫の関係がメリッサに対する救いと判断したのであれば話は別ですけれど。

 

今回は間に15分の休憩が入って上演時間としては1時間40分ほどでした。

二人の手紙のやりとりがラヴ・レターというのはなんだか綺麗にまとめられすぎな気もしますが、観劇始めがラヴ・レターズで良かったです。

 

朗読劇って面白いですね。多分自分で読んだ方が分かりやすいし反芻しやすいけれど、でもそこは役者さんの演技力という最大の調味料があるから違ったおいしさがある……

割と頻繁に星の王子様の朗読劇が開催されているようですので機会があれば行ってみたいな。

 

以上です!

 

 

 

 

 

ここからはソワレだったら良かったと思った理由という名の蛇足です。(グチです)

 

朗読劇なのですし、咳払いや飴の袋を開けば音が響くことが分からないものなんでしょうか(あと明らかに体調不良と思われる咳が続いていた方もいらっしゃいました。これは普通に外に出歩かないで欲しい)

経験上平日マチネって働いていない年配の方が多いのですよね。大体そういうときってこういう騒音トラブルが多い気がします。

今日はところどころ聞こえなくなるくらいひどかったので、お客様とて許せぬ!と注意しようかと思ったのですが、先に注意してくださった方がいらっしゃって上げかけた拳を下ろしました。

こういう客層のことまで考えるのは正直嫌だな~客ガチャ!

 

 

観劇まとめ2023

今年から、今年からは観たらすぐに書くようにしよう……

 

2023年の観劇総数は15回、作品数だと13作品でした。

今回はあらすじを省いて感想のみ雑多に書いていきます。

ネタバレや辛口等含みますがあくまでも感想ですのでご了承ください。

 

 

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リオレに夢中

標題のとおりだ。

オメー2023年観劇まとめはどうしたと思わないでほしい。

今必死にいい記憶も悪い記憶も思い出しながら書いている途中なのだから。

 

月初の地獄の中、半笑いで残業を吹っ飛ばし内幸町の喧騒を駆け抜けリオレに夢中という虎ノ門横丁のポップアップに参戦してきた。

布団の中にいる今となっては、まぁ明日考えます、明日がんばりますを繰り返したことが遥か昔のよう。

 

 最初に入場料7,000円を支払った上で下記のメニューが注文できる。

賛否あるでしょうが、食べ終わった今も判断がつかない。このシステムだからこそお店とお客がwinwinであると考えれば今後このような形態のお店が増えることは喜ばしいことだと思う。

ちなみにドリンクはアルコールは400円程度~だったはず。途中いただいたウーロン茶(80円)がめちゃくちゃおいしかった。

メニューは10日から新しくなったそうで、隣の紳士は前中後と予約されているのだそう。

 最初にお断りしておくが今、私は酩酊している。それでも楽しかった記録を残せずにいられずに今パソコンの前に座っている。持ちうる限りの賛辞を込めたつもりだが舐めた口を聞いていると感じても許して欲しい。

 

こちらが本日のメニュー。

下記の写真は出てきた順である。

こちらはおかわりしたバーニャカウダー。これはよく見るバーニャカウダーとは異なり、シャカシャカポテトのように様々なスパイスやうまみの粉(ハッピーターンの粉と同義)と新鮮な野菜が入った紙袋を各々でふりふりして食べるという何とも遊び心あふれたもの。周りの方の見様見真似でふりふりと振ったものの振りが甘かったのか1回目はあまりうまみを感じられなかった。シャキシャキとお野菜がひたすら美味しかった。

 しかし2回目ではがつんと鰹節とニンニクの味を感じられ、これ素焼きせんべいにかけたらめちゃくちゃおいしいだろうなと失礼なことを考えながら一人暮らしではおざなりになりがちな野菜を夢中で摂取することができた。

おかわりしたかったものの胃袋の限界でできなかったカルパッチョ

海無し県出身者、魚が大好き!!

はるかという品種の柑橘は苦みと酸味のバランスが絶妙で鯛との相性が抜群だった。ボウルいっぱい食べたい。叶うなら月1食べたい。

猪ですって。猪の燻製ベーコンは昔幾度となく口にしたが、臭みというか癖が特徴的な印象だった。しかし、この肉団子(ポルペッティ)は癖がなく、この肉団子(ポルペッティ)は何のお肉?と思わずメニューを見返すほど。下のオムレツも驚くほどに味が濃いのに肉団子(ポルペッティ)の味を邪魔せずそっと寄り添っているのが印象的。

 

さつまいもの左上、黄色いニンジンみたいなのの右上にあったのがおいしかったのですがなんだったのでしょうか?カブ?

クミンと黒豆ってこんなに親和性が高いのかと驚いたフムス。

フムスの上に映っているのは金柑(以前いらした方のおすそわけだそうですご相伴にあずかりました。)で、皮以外はまずいという印象が一気に取り払われるほど甘くほろ苦い味わいにうっとり。

 

実はこれがベストヒット。

チーズとキウイ、ワサビ菜に鴨のマリアージュが素晴らしくこの一皿でもう一杯いってしまうほど。

これが酔いの始まりだったのでもっと食べたい!と思ったけれどもこの量でやめておいて正解だったとも思う。

鹿!!!

鹿を殺すと石子詰め(穴の中に投げ込まれた上に投石されて死ぬ)にされる土地に生まれた人間としてはなんとか一矢報いたい。あの時食べられたレポートの恨み。

ということで×2にしました。私めとお話してくださった隣の淑女は参加されていないものの高校時代の修学旅行が古の土地だった模様。

何もないです!(胸を張る)

ですがいい土地ですよ。いつかおいでませね。

耳たぶパスタ。

ほどよい固さとくどくないクリームソースに一気に食べてしまった。このお肉はサルシッチャです。めちゃくちゃおいしい。サルシッチャだけでワイン。こんなに小さいのにジューシーで肉肉しい。すごいぞサルシッチャ。

 

 このあたりで途中予約できていないか確認してお手を煩わせて申し訳ありませんでしたとシェフにお詫びした。(抽選予約したものの自分の不手際により自動返信メールがなく、シェフの時間を奪ってしまっていた)

関口シェフは何故今と困惑されていた。

それもそう、最初でも最後でもなく思い切り中盤である。

しかし私はこの目の前のグラスを空ければ酩酊必至。当初は「帰りに言えばいいわ」と思っていたもののうっかり(うっかり?)酒を飲んでしまったのでせめての自らの不甲斐なさを詫びるのであれば今と決死の思いである。

今この記事を書いている今もどうにか乗り過ごしまいと目蓋をこじ開けて居る最中なのだから無理もない。これを言えただけでも満足した。

ボロネーゼ。英雄ボロネーゼ。

正直飲んでしまったので、おいしい!!!!ということしか覚えていない。ここで服にこぼしたことはさっきセーターの袖が教えてくれた。

天使の海老が入ったリゾット。海老のうまみがすごい。トマトの酸味が絶妙。

海老が海老海老している。意味が分からないだろうがぷりぷりしているのではなくブリブリしていた。これは語感の問題なので無視してもらっていい。

ここでおかわりしたワインが途中で尽きそうになったのだけれど、すこし残して2本目へと移行したので理由を聞くと滓があるからだそう。振ったら…ダメなのか…ワインって…?滓の部分飲んでみます?と聞いていただいて飲んでみるとジュースみたいでおいしかったけれどワインではなくて面白かった。

リオレ!!!!

お米をミルクで炊いた、もの…?あまくてくどくなくてさっぱりおいしい。ココナッツミルク味で似たようなものを食べたことがあるが甘みのしつこさというところでは随分な差である。いちごのベリーソースとキャラメルソースを2種類とも頼んだのだけれど人の目を盗んで一緒に食べてみると多幸感に襲われると同時に(明日の仕事行かなきゃダメかな?)と悪魔が囁き始めたためこれにてお会計。最後に関口シェフに「300gで良いんですか???」と聞かれながらも踏みとどまってリオレを購入し、持ってきた(お昼休みに100均で購入した)タッパーに入れてもらって帰宅。

 

ずいぶん食べて飲んだ。

途中美女に少女と呼ばれて舞い上がったり、顔が真っ赤になっていく人を見て不安になったりシェフ陣の摘み食いなど皆さんの楽しそうな様子を見たりでずいぶん楽しませていただいた。

楽しかったしおいしかった。

また明日からもやっていけそうな気がする。

関口シェフ始め、皆様ありがとうございました。

酔いも醒め始めたので寝ます。

 

#リオレに夢中

 

観劇まとめ2022

今更?と思われるかもしれないし本人も今更?と思っているけれど、手書きでつけている観劇日記を見返していたのでこちらでも書いておこう。

 

2022年に観たお芝居は11本(内1本は複数観劇した)で配信は2回でした。

すごく引き込まれたのもあれば、not for meだったものも結構あってまだまだ自分好みのものを見つける目が養えていないと実感。

2019年のコロナ流行当初に中止が続いてしまってすっかり足が遠のいたこともあり、年々観劇数が減っちゃったな。

でもチケット代が高くなったから観てないのに減るお金は変わらないのが悲しい。

 

では、短いながらにそれぞれの感想を。観劇後に脳直で書いたため感想とも呼べない乱雑さですがご容赦ください。(以下、あらすじはすべて引用。ネタバレを含みます)

 

4月

・こどもの一生

・ENDLESS SHOCK(配信)

・ENDLESS SHOCK ~Eternal~

6月

・てなもんや三文オペラ

8月

・VAMP SHOW

9月

・ドロシー

・夏の夜の夢(夏組)

・夏の夜の夢(夢組)

11月

オペラ座の怪人

・薔薇とサムライ

・歌妖曲~中川大志丞変化~

守銭奴 ザ・マネークレイジー

・ショー・マスト・ゴー・オン

・ショー・マスト・ゴー・オン(配信)

 

4月

 

・こどもの一生@東京芸術劇場プレイハウス(E列)

あらすじ:瀬戸内海の小島をレジャーランドにするためヘリを飛ばし下見に来た男二人は、セラピー施設に治療のための称して入院し、一週間を過ごすことになった。しかしすでにそこには女二人、男一人の患者-クライアントがいた。五人は投薬と催眠術を使った治療で、こども時代へと意識は遡る。

 

古田新太さんが昔出ていらっしゃったことと、今井朋彦さんのファンなのでこれは観なければとチケットをGET!

ちなみに原作は未読です。

 この劇場は観やすくて音も良く大好きなのだけれど、F列からしか傾斜がないのでもし座高のある方が前に来たら見えない可能性があるなと思っていた。でも誰もいらっしゃらなかったので見えやすかった。

ただ、両端にせり出す形でセットが組まれていたので首は痛かったな…でも役者さんの声がよく響くいい劇場だった。

 劇中にダンサーの方が何人もいらっしゃって観客の視線を強調させたい場所へ向ける役割をしていたのが印象的。怖くて面白い。物語に余白があって、ラストシーンは何通りもの解釈ができる演出になっていた。

こどもの残酷さ、無邪気さが根幹にあって、社会性を身に着けてしまったおとなとの対比が愉快であり、滑稽でもあり…

 ここからは物語の中身の話ですが……結局"柿沼しのぶ"は三友を殺してはない?

風呂に沈められたとは誰も言っていないのに柿沼が言ったことから意識下に殺し(半殺し)にしたのは柿沼。

だけど殺したのは"柿沼しのぶ"ではなく、裏人格である"柿沼てつぞう"では。

山田のおじさんを消すときには主人格である"しのぶ"から"てつぞう"へと変わっていたけれど醒めた時には"しのぶ"なので覚えていない。まして"しのぶ"はもう一人の人格がどんなものか知らない、もしくは自分にもう一つの人格があるなんて知らなかったから。

 主演の方は当初務められる方と変更されたようだったけれどとても似合っていたと思う。

パンフレットにはこの作品は今回が最後かもと書いてあったけれどまた役者さんが違うパターンでも観てみたいと思うような作品だった。

 

・ENDLESS SHOCK & ENDLESS SHOCK ~eternal~@帝国劇場(I列)

あらすじ:コウイチはニューヨークのブロードウェイでエンターテイナーとしての頂点を目指し、日々自分のパフォーマンスを磨き続けている。彼が中心となって構成されているカンパニーは小さな劇場でのショーから着々と人気を集めていく。ある日、コウイチのショーを高く評価する記事が新聞の一面に掲載され、オーナーのもとに大劇場から公演してほしいというオファーが届く。

 

→初めての帝国劇場。椅子がふかふかしていて腰に負担のない椅子でとてもよかった。

関西出身だったので毎年フライングの映像だけはテレビで見ていて、履修しとくかと思ってチケットを購入後に先に配信(eternal)を視聴。

正直視聴後に、選択を誤った…?と思うほど好みではなかったので観劇はひやひやしてしまった。拒絶するほどだめというわけではないけど、また観たいとは今回思わなかった。まぁ「あたし、〇〇に着いていく!」っていう添え物女性像に辟易したっていうとところもある……でもこれは制作元を考えたらそうなる可能性があるってことを考慮しなかったこちらが悪いですね。

演出の迫力と例のフライングに主演の芝居の圧でまとまっている印象があって、どうやらこのお芝居は毎年主演のライバル役が変わっていくようだけれど、ライバル役によってもかなり印象が変わってきそうだと思った。

殺陣が印象に残っていて主演の高くも低くもない声の主演がドスの効いた声で叫んだところは痺れた。場数を踏んでいないと出せない圧だったと思う。

もしかしたらショーの側面が強くて物語としての多少の粗はそれほど重要視されていないのかも。

あくまでもnot for me。誰かのファンだったら違ったのかもしれないけれど。

観劇中にお上手な方だなと思った方がいらっしゃったので(原さん?)またいずれその方が出演されるのであれば別の舞台を観劇したいな。

 

6月

・てなもんや三文オペラPARCO劇場(F列)

あらすじ:1956年(昭和31年)、秋、早朝。猫間川沿いの川岸には、トタン屋根のバラックが肩寄せあっている。
その目と鼻の先、川向うに、「大阪砲兵工廠」跡地が見える。かつて、そこはアジア最大の軍事工場だったが、アメリカ軍の空爆で、廃墟と化した。数年前に勃発した朝鮮戦争の「朝鮮特需」で、鉄の値段がはねあがると、「大阪砲兵工廠」跡地に眠る莫大な屑鉄をねらって、有象無象の人々がつぎつぎと集まってきた。彼らは、いくら危険だろうが、いくら立ち入り禁止の国家財産だろうが、おかまいなし。目の前のお宝を、指をくわえて見ている阿呆はいない。夜な夜な、猫間川を越え、環状線の鉄橋を越え、時に、弁天橋の警備員詰所を正面突破して、屑鉄を掘り起こした。そんな彼らを、世間の人たちは「アパッチ族」と呼び、彼らの住む場所を「アパッチ部落」と呼んだ―――
アパッチ族」の親分・マック(生田斗真)は、屑鉄のみならず、さまざまなものを盗んで盗賊団を組織していた。恋人のポール(ウエンツ瑛士)との結婚式を挙げるマックのことを、うとましく思う「乞食の友商事」の社長ピーチャム(渡辺いっけい)と妻のシーリア(根岸季衣)は、警察署長タイガー・ブラウン(福田転球)を脅し、なんとかマックを逮捕させようとするが・・・・・・。マックの昔なじみの娼婦ジェニー(福井晶一)と、ブラウンの娘ルーシー(平田敦子)をも巻き込み、事態は思わぬ方向へとすすむ・・・・・・。

 

→初のPARCO劇場ですが、最後列がT列で2階はないということもありこじんまりとしていてとても観やすかった。

 数年前に観劇して総じてよかった印象のある「泣くロミオと怒るジュリエット」の脚本演出×偽義経冥界唄の生田斗真さんということもあってチケットを購入。

想像以上にライトな話で怒涛の勢いで物語が進んでいったのと主となる二人が関西出身でないのに関西弁を話させている違和感に終始首を傾げてしまったのだけれど、関西以外の方からすればなんの違和感もないものなのだろうか?

 ワガママで向かってくる死に対して抗いまくっていた主人公が、誰かの「ただいま」を殺してしまったことを思い出して生きたいと思いながらも自分の絞首刑も受け入れるというあっさりさが呆気なく、もの悲しい。

生きたいという気持ちで生き抜いた戦争時代が過ぎて、自由奔放に暮らせるようになったけれど、人を殺したという影はいつまで経っても付きまとって、ついにその影に飲み込まれてもそれは仕方ないと思ってしまうのがやるせなかった。

 あと、この演出の方って東京で上演されようと果敢に吉本新喜劇のネタを放り込むので東京の会場で観劇すると関西人が炙り出されてしまう…泣くロミオの時も最後列で笑っている自分声が響いてしまって…恥ずかしい!

 

8月

・VAMP SHOW@PARCO劇場(E列)

あらすじ:山間の寂れた駅で、5人の青年がある女性と出会うことで始まる物語。
明るく楽しい旅行者の青年たちは実は吸血鬼で・・・。

 

→平日の夜だったからか客入りは7~8割というところだっただろうか。

もう同じメンバーでは再演できない豪華な俳優陣で上演された時から21年。

今回演出された方は21年前出演されていた方!(河原雅彦さん)でとても楽しみにしていた。

変わらず話は面白くて切ない。友達が好きだから故に吸血鬼のフリをして友達の吸血鬼一行に同行する人間と、その輪に入り込んでしまった人殺し。人殺しに振り回されて好きな友達を仕方なく殺していった人間が辿る末路は。

熱演だったとは思うけれど出演される方があまり舞台主体の方々ではないのか声が通っていなかったように思う。印象として全体的に間がなくて台詞を読んでいると思ったのだけれどこれは開幕して2日目だっというところもあるのだろうな。それが狙いだったのだったらいいのだけれどカオリだけがキャラ立ってた気がする。

最初に観たものを超えるというのは中々難しいのかもしれないな。

 

9月

・ドロシー@草月ホール(F列)

あらすじ:オズの魔法使いの登場人物の名で呼び合う、お互いの素性をしらない4人の強盗。自らをオズと呼ぶ謎の男のプランにのっかり、見事銀行を襲い現金を手に入れた。仕事を終え、アジトである廃墟となった遊園地の機械室に戻ってくる。
4人は現金を前に、お互いの『夢』の話へ---
はじめは互いの素性を楽しく語り合う4人だったが、次々に予想外の出来事が彼らを襲う。このミッションに隠された、本当の意味は?オズの正体は?ドロシー達は、『夢』を実現させることはできるのか!?

 

→2022年のベストでは!?

 初めて行った草月ホールですが、座席位置高いね!?女性だと足がつかない方も多いのでは…

 謎解き、人間関係と明かされる真実の組み合わせが巧妙で常にハラハラドキドキさせられる展開。しばらく経ってからなるほどね!と理解できるところもお上手だった。

 物語の中で物語が展開されていく。最初は自分の保身のために職務を放棄した刑事を捕まえるために演じたオズの魔法使いを準えた物語だったけれど、本来の目的は主人公の"ドロシー"ことアオタユウトという男性をおびき寄せるための罠で…?

ドロシーであるアオタユウトの中には本当に人殺しのドロシーがいる。養護施設で育った彼は今まで幾人もの人を殺していた。おもちゃの心臓を撃てばドロシーは死ぬっていう正に物語的なストーリーだけれど、現実的に考えればおもちゃの心臓を撃ったところで人格であるドロシーが死ぬはずもなく。

安西慎太郎さん始め役者の皆さんが役割を演じることがお上手で騙されて騙されて素直に拍手ができる素敵な舞台。

キャッチコピー通り、「その唇に騙されるな!」

 2022年はドラマでも舞台でも解離性障害のお話が多いような気がした。使いやすいのはわかるけれど。

次回作お待ちしています。

 

・夏の夜の夢(夏組)@日生劇場GC席A列)

あらすじ:年頃の娘ハーミア(生駒里奈)は青年ライサンダー(髙地優吾)と恋仲。だが彼女の父はディミートリアス元木聖也)という男に娘をやりたいと思っていた。ある日侯爵テーセウス(中村芝翫)から、父の命に従わないのであれば、死刑か生涯修道院で過ごすことになると言い渡されたハーミアは、ライサンダーと駆け落ちすることにする。ハーミアに恋するディミートリアスは森へと向かい、彼に片思いするヘレナ(堺小春)もその後を追う。

 一方森では、妖精の王オーベロン(中村芝翫)と女王ティターニア(南果歩)がお気に入りの小姓をめぐって仲違いをしていた。機嫌を損ねたオーベロンは要請に、目覚めて最初に目にしたものに恋してしまう「恋の三色すみれ」の花の汁を取りに行かせ、それを塗られたティターニアは職人のニック・ボトム(宇梶剛士)に惚れ込んでしまう。

妻にいたずらをする傍ら、オーベロンはディミートリアスとヘレナを見かけ、無碍にされるヘレナを哀れに思い、花の汁を使うようパックに命じる、しかしパックはディミートリアスではなくライサンダーの目に花の汁を塗ってしまい、目覚めたライサンダーはヘレナに愛を誓い始める。パックの間違いに気づいたオーベロンがディミートリアスに花の汁を塗ったため、二人がヘレナを取り合って大混乱に……一体どうなる!?

 

堺小春さんがヘレナ!?それは行かなければ!というわけで様々な層のファンの方が入り混じる日生劇場へ。

実は先に自分で買っていたチケットの日が中止になり、お譲りいただいたもの。本来は上手側のサブセンターだったのだけれど、お譲りいただいたのは下手サイドでした。

カード先行でパンフレット付きだったので中止は悲しかったのですが、小春さんのヘレナを絶対に観たかったので諦めきれなかった…!

そして記念すべき初めてのシェイクスピア作品の観劇でもある。原作は既読です。

GC席ってすごく素敵な席ですね。中2階とでもいうのでしょうか。ちょうど役者の目線の先にある2列しかない席で、すごく物語に集中できる。

 この夏の夜の夢はパックの夢だったのかな。パックの最初の登場が車いすで最後は倒れながらの口上。またこのパックの子役の方(加藤岳さん)がお上手なものだから惹き込まれてしまった。

若者4人は丁々発止にまくし立てて小気味良く、やっぱり小春さんの長台詞は人の心に訴えかけるものがある。くどくなくて妙な節もない、ただただディミートリアスに恋をする美しいヘレナがそこにいた。

 

・夏の夜の夢(夢組)(GC席A列)

→良かったのでもう一度。

当日券チャレンジをしたのだけれど、これが厄介なシステムで、前日の12時に買えるのはあくまで「抽選券」。(そしてCNプレイガイドなのでコツがいる)

これをコンビニで発券して当日会場開演20分前に抽選をし、当選すればそのままチケットを買えるというもの。

ところが私ときたら丸の内線で東京方面に行かなければならないのにうっかり荻窪方面に乗ってしまい、中野坂上で気づく始末。もう絶対間に合わないと思っていたのですが、こちらのサイト日生劇場のアクセス|最寄り駅から徒歩何分何秒?出口は? (1rankup.jp)

を参考に爆走してなんとか2分前に間に合いました…

主催は松竹なのだけれど、このやり方だと近くに住んでいる人間しか怖くてチャレンジできないのでは?特にこの演目は日生劇場でしか上演しなくて、面白くても地方から賭けをしに来る人間はいないと思うのだけれども。どう思う?松竹?転売対策なんだろうけど…

転売対策及びチケット代については別に書きたいな。

 若者4人の掛け合いがパワーアップしていて小ネタも増えていたように思う。ビンタ、突き飛ばし、足をひっかけて転ばす。これは大変だろうな…笑

何度観ても小春さんが演じられるハーミアがいじらしく、声もよく通っていて素晴らしかった。この夏の夜の夢は訳者の方のこだわりで韻を踏んでいる台詞が多いので冗長といえば冗長かもしれない。(上演時間は休憩込みで3時間10分)

夏組、夢組というのはパックとティターニアお付きの妖精たちがWキャストだったのでせっかくならと今回は夢組を鑑賞。どちらもお上手だったけれども、夏組が全員芸達者だったのに比べて夢組はこれが初舞台という方が多かったこともあり夏組のほうが動きがスマートに見えた。

最初に踏切の音と子どもたちの声がする。最後パックが倒れた後には救急車と赤ちゃんの声。保育園の散歩中に踏切事故に遭ってしまい小児病棟に運び込まれた子どもが見た夢というなんだか嫌なストーリーが頭に浮かんでしまった。

夏の夜の夢は様々な劇団が上演しているのでまた別の夏の夜の夢を観てみたい。

 

11月

オペラ座の怪人@大阪四季劇場(M列)

1905年、パリ・オペラ座の舞台上。オペラハウスの所有物がオークションにかけられている。
車椅子の老人はその中の一つ、オルゴールに手を止める――。

さかのぼること半世紀、オペラ座の舞台では、オペラ『ハンニバル』のリハーサル中。
しかし華麗な舞台の外では"オペラ座の怪人"の仕業とされる謎めいた事件が続発していた。策を講じない支配人に腹を立てたプリマドンナのカルロッタは、オペラに出演しないと言い出す。

→「劇団四季オペラ座の怪人は凄いらしい」そんな看板を見たことはあったものの中々足が向かなかった。けれど偶然関西に行く機会があったのでこれはチャンスと前日にチケットをゲット。

さすがとしか言えない歌の上手さにあっという間に惹きこまれて素晴らしい体験となった。のだけれど…!怪人にすっかり感情移入してしまった私は終演後も怪人が可哀そうだとぶつぶつ言いながら帰ることになるのでした。

 

・薔薇とサムライ@新橋演舞場(19列)

17世紀初め。
女海賊アンヌ・デ・アルワイダ(天海祐希)が天下の大泥棒石川五右衛門古田新太)の協力を得てコルドニア王国の混乱を収め、国王となってから10数年が過ぎようとしていた。

南の島、デルソル島。
科学者ケッペル・レンテス(粟根まこと)がとある研究に勤しんでいると、島を欧州の兵が襲撃。島民を奴隷として捕まえていく。が、そこに現れた五右衛門のおかげで兵士達を撃退する。
彼らがコルドニア王国の兵士だと気づく五右衛門。平和主義だったアンヌがなぜ? 訝しんだ五右衛門は彼女の真意を確かめるため、ケッペルと共にコルドニアに向かう。

その頃、コルドニアには新たな危機が訪れようとしていた。

周辺諸国の征圧を狙うソルバニアノッソ王国の女王マリア・グランデ(高田聖子)が、隣国ボスコーニュ公国を併合しようとしていた。
その調印式に招待されたアンヌは、才覚を見込んで供にしているイクシタニア王国の王女ロザリオ・イクシタニア(石田二コル)とともに、ソルバニアノッソの宮殿に赴く。
調印式の祝賀会には、ボスコーニュ公国の国王シャルル一世の弟、ラウル・ド・ボスコーニュ(神尾楓珠)がいた。シャルル一世が海難事故で生死不明の今、彼がボスコーニュの代表だった。将軍の寝返りにあい、国民を守るためには不利な条件の併合を受け入れるしかなかったのだ。
その席で、自分に従うようアンヌを脅すマリア。彼女の狙いはイクシタニアとコルドニアだ。だがアンヌは、コルドニアとその友人たちの自由が脅かされれば立ち向かうと宣言する。

アンヌと行き違いにコルドニアに着いた五右衛門は、そこでボルマン・ロードス宰相(生瀬勝久)と出会う。今でこそ一国の宰相となっているボルマンだったが、かつては五右衛門と同業だった。たぐいまれなる料理の腕で貴族に取り入り油断させ、その家の宝を根こそぎ奪う。“舌の魔術師”と呼ばれる泥棒だったのだ。ボルマンの野望に気づく五右衛門だったが、彼の策にはまり、身動きを封じられてしまう。

外にマリア、内にボルマン。二つの脅威に挟まれるアンヌと五右衛門。
親友エリザベッタ(森奈みはる)とその息子ベルナルド(西垣匠)やマリアの息子マクシミリアン・ド・ラブズブール(早乙女友貴)も巻き込み、事態は風雲急を告げる。
そしてコルドニアに魔の手が迫る中、アンヌにも予想外の事態が!
果たしてアンヌは己の誇りにかけて、国と民を護れるか――!?

→こ~れは天海祐希ファンたまらんでしょ…!

先行をすべて見逃してやっぱり行くかと。初めての新橋演舞場でこれも直前リセールで取ったチケットだったから観えないかと思ったけど前の人が来なかったのでなんとか観れた。歌舞伎をやるような場所で1階というのは傾斜がないので見えるか見えないかは前の人間次第みたいなところがある。

劇団☆新感線らしさと天海祐希さんの華が爆発する中、途中贔屓の方からと思われる嬌声に似た息を呑むような悲鳴が聞こえてきてニヤニヤしてしまった。そりゃね、あの姿の天海祐希さんがまた観れるなんて思わないよね。

 

・歌妖曲~中川大志丞変化~@明治座(6列)

昭和40年代の歌謡界に彗星のごとく登場し、瞬く間にスターダムに駆け上がった桜木輝彦(中川大志)。
そのベールに包まれた経歴の裏側には、戦後の芸能界に君臨する「鳴尾一族」の存在があった。

元映画スターの鳴尾勲(池田成志)が手掛ける、愛娘の一条あやめ(中村 中)と愛息の鳴尾利生(福本雄樹)は、スター街道を邁進中。
フィクサー・大松盛男(山内圭哉)が控え、今や世間からは、大手芸能プロダクションと謳われていた。

だが、そんな鳴尾一族にあって、存在を闇に葬られた末っ子がいた。
ねじ曲がった四肢と醜く引きつった顔を持つ、鳴尾定(中川大志)。

一族の汚れとして影の中で生き長らえてきた定は、闇医者の施術により絶世の美男子・桜木輝彦に変身を遂げ、
裏社会でのし上がろうとするチンピラ・徳田誠二(浅利陽介)と手を組み、同じく鳴尾家に怨恨を抱くレコード会社の
女社長・蘭丸杏(松井玲奈)と政略結婚し、自身の一族に対する愛の報復を始める。

その血に……運命に……復讐を遂げるべく、桜木輝彦による唄と殺しの華麗なるショーが幕を開ける───。

 

中川大志さん始め役者陣は素晴らしかった…!なのに脚本と演出があまり…

設定がよく観客に伝えられないまま過去と現実を行き来するので今が現在なのか過去なのかの把握に時間がかかってしまう。主人公が手術によって見目麗しい男性になるのだけれどなぜかそれが戻ったりする。なんでや。

公演が始まってから指摘されていたようだけれどペンライトを使うなら使いどころが曖昧なのもどうかと思いましたね…

どセンター席だったのだけれど、散った紙吹雪の片づけをしているスタッフの方が見切れるのも気になった。

でも本当にこれが初舞台という中川大志さんは素晴らしかったです。歌もお芝居もとてもよかった。

 

守銭奴 ザ・マネークレイジー東京芸術劇場プレイハウス(D列)

極度の倹約家であるアルパゴンは、召使いを始め、息子と娘にまでそれを強要し、家族の我慢も限界に達している。そんなある日、アルパゴンは再婚をしたいと申し出る。その相手は、実の息子が恋した相手と同じだった。けちんぼ親父とその息子と娘、それぞれの恋人たちとの七転八倒のやり取りの最中で、思いがけず秘密が明らかになる。

→すみません、特筆するところがなく…休日の昼だったはずなのですが埋まり具合は半分ほど…演出は海外の方だったんだけれど、やはり肌に合うかどうかという問題は出てきてしまう。日本の演出家の方だって合う合わないあるだろ!という声もあるとは思いますが私にはよく分かりませんでした。

 

・ショー・マスト・ゴー・オン@世田谷パブリックシアター(2階A列)(配信×1)

→初めての世田谷パブリックシアターの2階だったけれども観やすかった。3階を見てみるとバーカウンターの椅子のようだったのでちょっと3階だと腰が終わってしまったかもしれないな…

観劇前にチカチカと劇場内の照明が点滅し、始まる合図か!と観客が静まり返る中いつまでも開かぬ幕。5分以上経過したあたりで舞台監督の方が登場され、どうやら劇場周辺の一時的な停電の模様。なんだ~とふわふわと笑う観客が各々お手洗い等に立つ中、演出の三谷さんが出てこられ、拍手喝采。それではショーマストゴーオン始まります!の言葉で観客は大盛り上がり!!

代役に代役を重ねてこられた三谷さん。達者でいらっしゃるなぁと嬉しくもなりました。

マクベスという芝居をどんなトラブルがあっても幕を下ろすことなく遂行する舞台監督に襲いくるトラブルと癖のある登場人物たち。そんな…!と思わず唖然としてしまうような驚きの後破裂するように起こる観客席からの笑いは2022年を締めくくるにふさわしかったと思う。

私は物語をみる中で、喜劇性と余白、一貫性に重きを置いていているので、このショー・マスト・ゴー・オンというお話の登場人物を含め全てを抱きしめたくなるような温かい気持ちで家に帰ることができました。

 

以上です!